心に響く谷川俊太郎の詩。「あくび」「朝のリレー」「生きる」

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先日友人が教えてくれた1つの詩。

 

その詩のことが僕は 一瞬で好きになり すぐさまネットで調べると それは谷川俊太郎さんによる 『あくび』という詩。

 

谷川俊太郎さんの詩は 中学生の時に習った 『朝のリレー』だけは知っていましたが 調べてみるとその他にも たくさんの有名な詩がありました。

 

この記事で谷川俊太郎さんの3つの詩をご紹介させていただきます。

 

あくび

ぼくは四十きみは十

 

としは少しはなれているけどおんなじ時代の
おんなじ国にぐうぜんいっしょに生きている

 

ぼくは四十きみは十

 

ならった教科書は少しちがうが
むかしもいまも地球はまわって朝がくればおはようなのさ

 

大臣がなんどかわろうがうそつきはやっぱりいやだな

 

子犬はやっぱりかわいいな

 

やがてきみは四十ぼくは七十

 

その時も空が青いといいんだが
いっしょにあくびができるように

朝のリレー

カムチャッカの若者が きりんの夢を見ている時

 

メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている

 

ニューヨークの少女が ほほえみながら寝返りをうつとき

 

ローマの少年は頭柱を染める朝陽にウインクする

 

この地球では いつもどこかで 朝がはじまっている

 

ぼくらは朝をリレーするのだ 緯度から緯度へと

 

そうしていわば 交替で地球を守る

 

眠る前のひととき 耳をすますと

 

どこか遠くで 目覚まし時計のベルが鳴っている

 

それはあなたの送った朝を誰かがしっかりと受け止めた証拠なのだ

 

生きる

生きているということ

 

いま生きているということ

 

それはのどがかわくということ

 

木漏れ日がまぶしいということ

 

ふっと或るメロディを思い出すということ

 

くしゃみをすること

 

あなたと手をつなぐこと

 

生きているということ

 

いま生きているということ

 

それはミニスカート

 

それはプラネタリウム

 

それはヨハン・シュトラウス

 

それはピカソ

 

それはアルプス

 

すべての美しいものに出会うということ

 

そしてかくされた悪を注意深くこばむこと

 

生きているということ

 

いま生きているということ

 

泣けるということ

 

笑えるということ

 

怒れるということ

 

自由ということ

 

生きているということ

 

いま生きているということ

 

いま遠くで犬が吠えるということ

 

いま地球が廻っているということ

 

いまどこかで産声があがるということ

 

いまどこかで兵士が傷つくということ

 

いまぶらんこがゆれているということ

 

いまいまがすぎてゆくこと

 

生きているということ

 

いま生きてるということ

 

鳥ははばたくということ

 

海はとどろくということ

 

かたつむりははうということ

 

人は愛するということ

 

あなたの手のぬくみ

 

いのちということ